1925年。
ブラックバスがニッポンの芦ノ湖にやってきて100年。
このメモリアルイヤーに開幕を迎えるMajor League Fishing Japan(以下、MLF Japan)。
言葉では表せない何らかの「縁」が結びつけたのかもしれない。

そんなMLF Japanが3月22日、茨城県美浦村にある霞ヶ浦トーナメントプレイスで開幕を迎えた。
現在、MLF Japan唯一のシリーズであるKasumi Series(カスミシリーズ)。
霞ヶ浦水系全域という日本最大のトーナメント水域で、フルサイズのバスボートを駆使して魚を探し出す。
本国MLFに負けるとも劣らないスケールで行われるイベントでは、釣りはもちろん機器の使いこなしや操船に関するスキルも求められる。
ある意味、ハイリスクではあるが、ハイリターンであることも、MLF Japanイベントの特長。
果たして記念すべき開幕初年度は、どんなドラマが待っているのだろうか。
バスボートデビュー戦を華々しく飾る入賞
霞ヶ浦水系のおかっぱりアングラーとして、レイドジャパンの看板を背に日々研鑽を重ねてきた花村勇太朗選手。
今年からその戦いの場をバスボートに移し、MLF Japanへの参戦を決めた。
まだマイボートを所有していないため、サポートを受けての出場。
プラクティスはエンジントラブルがあったものの、メインエリアを自身の足で巡り、手応えを得るという執念を見せた。
キーになったのは、小野川の「透明度があって流れが当たらない」エリア。
レイン・レインズホッグ、レイドジャパン・エグチャンク、O.S.P・ドライブビーバー3.5インチをローテーションさせ、キロフィッシュ2匹をキャッチ。
デビュー戦で5位入賞という、大器の片鱗を見せつけた。

ワールドチャンピオン「らしさ」
2024年度のJB TOP50年間王者、江尻悠真選手。
昨年のBMCトーナメント(MLF Japanの前身)では、わずか10gでA.O.Yを逃すという苦渋を喫ししたため、並々ならぬ思いで今シーズンを迎えた。
プラクティスの手応えから、開始2時間は釣れないことを予想していたという。
キーは9:30の常陸利根川開門。
流れが出ることで大きく状況は変わると踏んでいた。
しかし、そのタイミングで当てに行くもハマらず、だが気持ちは崩れることなく淡々と打ち続けた江尻選手。
11回ものバイトを得たのは想定外だったこともあってか、ノセきれず…
それでも4匹のバスをキャッチするあたりはさすがの一言。
モコリークローの4gテキサスリグと、レッグワームのリーダーレスダウンショットを使い分け、マットの、あえて落とさず水面で誘って下から食ってくるというバイトをものにした。

帰着5分前に待っていたドラマ
昨年はW.B.S. Kasumi Pro Classicの連覇を果たした今井新選手。
その後もローカルトーナメントで勝利を収めるなど、好調をキープしていた。
しかし1月末に足を負傷。
思うようにプラクティスができず、完治していない状況で本戦を迎えた。
痛む足を抱えながら行った2回のプラで得たのは「冬っぽさ」。
そこで水温が上がるまではブレイクが近いエリア。
水温上昇後はシャローのブッシュを、得意のO.S.P・スピンナッツ65(ラバーチューン)で撃ち続けていった。
8:30にファーストフィッシュをキャッチするも、その後は不発。

しかし手を休めることなくキャストを続ける今井選手の姿に、カスミの女神は微笑んだ。
Smart Scaleに申請が来たのは14:10。
1,450gの一撃が、順位を大きくジャンプアップさせ、3位入賞となった。

経験に裏打ちされたエリア選択が奏功
川口直人選手も体のトラブルで、年末年始は寝込んでいたという。
まだ本調子ではない体にムチを打ち、本戦開催週の月曜日にプラクティスを敢行。
探すというよりは、今まで釣ってきた春のエリアで、「ゼロはない、うまくいけば3匹」という確信を得たそう。
霞ヶ浦トーナメントプレイスから1時間以上のロングドライブの末、たどり着いた狙いのエリアで1520gをキャッチ。

プラクティスではダイワ・ボスクローで好感触を得ていたがボリュームのせいかすっぽ抜けることもあり、本番ではジャッカル・カバークロー3インチを選択。
バッテリートラブルがあったものの、コ・アングラーの1,330gも追い風となり、準優勝を果たした。
「日本最大の水域で、これこそ自分がやりたかったトーナメントです」と、熱く語った表情が印象的だった。
10gという僅差を制したのは「執念」
「記念すべきMLF Japanの開幕戦で、表彰台の真ん中に立てたのは光栄です」と語った竹内一浩選手。
諸事情により、今年の初釣りは3月に入ってから。
しかし、各所で反応をしっかり得るあたりは、ベテランの経験がなせる技だろうか。
前日もプラクティに出ることは叶わなかったが、「ここで油断してはいけない」と、アナログの水温計を手に、本命エリアの水温を計測するという執念を見せた。
雪しろの影響で一時は水温6℃ということもあったが、水温計の水銀が指したのは10℃。
前日夕方でこの水温があれば、期待は高まる一方だった。
竹内選手もマットカバーをメインに撃っていったという。
O.S.P・ドライブビーバー3.5インチのリーダーレスダウンショットを主軸に、カバーの濃さで7gと 18gを使い分けた。
コ・アングラーの長谷川和紀選手がマットの直下で釣った情報を共有し、「入れすぎない、(カバーにラインを)持たせて誘う」釣りで二発。

力を合わせてリミットメイクを果たし、川口選手を10g差で抑えての勝利となった。

STAGE 2 Gary International CUPは4月19〜20日に霞ヶ浦トーナメントプレイスで開催。
ライブ配信も実施するので、ぜひご覧いただきたい。