大接戦を制した若き北浦マスター。

2025年4月19〜20日の2日間にわたって、霞ヶ浦トーナメントプレイスを会場に、MLF Japan Kasumi Series STAGE 2 Gary International CUPを開催した。
日ごと気温、水温ともに上昇し、霞ヶ浦水系のバスはスポーニングモードへ。
気難しさを見せる反面、ビッグウエイトを叩き出せるという魅力も持っている。
まさに「大一番」となりそうな波乱含みのSTAGE 2。
2日間の激闘を終えた上位5名のボーターの戦略を紹介しよう。

ジャンプアップのキモは「コンフィディンス」。
5位 高木典之 4,715g

プラクティスで時間を費やした小野川だったが「プラのときとは反応が違った」と感じたという高木典之選手。その直感を信じ、本湖勝負に出た。
西岸にあるドックの壁でコ・アングラーのミスバイトにヒントを得て、その後は同様のスポットを回り、1,350gをキャッチ。翌日に繋げた。
2日目は、前日の好感触をもとにドック回りを敢行するも反応がなく、迷った末に小野川を選択。
「北利根川か、北浦かと考えましたが、プラをやった小野川に絞りました」。
この選択が奏功し、30分で4バイト2フィッシュ。絶大な信頼を寄せるドラッグスティック4.7インチの3.5gフリーリグが、いい仕事をしたと話した。

優勝経験のあるエリアで初志貫徹。
4位 加藤栄樹 5,045g

昨年の同時期に開催された、激戦と名高いチャプター新利根で優勝を果たした加藤栄樹選手。
「春の新利根川は大好き」と語るその表情から、自信がみなぎっていた。
先に結果をお話しすると、加藤選手は2日間を新利根川で完徹。
レンタルボートではなかなかの時間を要する上流域まで一気に遡上し、スポーニングをしたくて上がってきている個体狙い、というパターンをプラクティスから見出していた。
しかし水温が上がり、プレッシャーもあったせいか、簡単に口を使わない状況。
ドライブビーバーの5gテキサスとドライブクローラー4.5インチのカバーネコを巧みに使い分け、初日は2本で2kgちょうど。2日目はリミットの3本・3,045gをウエイインした。
「プラクティスでは1kgベースで2日間6kgの手応えがあっただけに悔しいですね」と悔しさを滲ませた加藤選手だった。

単日で5kgを超えるまさに「怒涛」のマクリ。
3位 村川勇介選手 5,210g

霞ヶ浦トーナメントプレイスがある、茨城県美浦村が地元という、ローカル・オブ・ローカルの村川勇介選手。
しかし、まさかの初日はゼロ。
霞ヶ浦だけでなく利根川も含む流入河川、川筋をメインにプランを構築していた。
しかし雨や田んぼの濁りもあり「危ない空気感じていた」という。
わずかに見えた一筋の光明を頼りに船を走らせるも、3つのバラシだけで初日は終了した。
ただし石積み、つまり「硬いところ」でバイトを得たことをヒントに、翌日は桜川へ。
自身がプロデュースしたカバーシュリンプのネコリグを橋脚に投じ、合計6発キャッチ。
そのうち上から1,870g、1,800g、1,465gで単日3本・5kg超を記録。
霞ヶ浦水系におけるトーナメントでのレコードと評しても過言ではない活躍と、ローカルの意地を見せての入賞を果たした。

プラクティスの鬼が絞り出した執念の一匹。
2位 長葭友宏選手 5,270g

長葭友宏選手はバスプロサポートの契約選手のなかでも、プラクティスに費やす時間は最多クラス。
今回の準優勝はその努力の賜物といっても過言ではないだろう。
勝負の場に選んだのは「小野川一択」。
大山スロープから近いという距離感もあり、長葭選手が最も自信を持っているエリアだ。
狙っていたのはバンクから少し離れた位置をクルーズしている個体が立ち止まるスポット。
しかし場所が違えば魚の状況も違うため、ブルスホッグのテキサスやボトムジャークで使用するスプーン、オフセットフックで使えるポークなど、多彩な手を打った。
激戦区の小野川で初日は3,890gを叩き出し、首位で折り返した長葭選手。
このプレッシャーからか、それとも予報どおりの強風のせいか、バイトが遠い。
「待望の一発もバラしてしまい、精神が崩壊しかけました」とはいうものの、最後の最後に入ったスポットで執念の一匹を手にし、2位フィニッシュにつなげた。

2歳からの英才教育で得た絶対的な「自信」。
優勝 小野将大選手 5,740g

表彰台の最上段で「オムツをはいていた2歳からバスボートに乗せられて、北浦の釣りを仕込んでくれた親父に感謝したいです」と語った小野将大選手。
潮来マリーナを拠点に、雨の日も風の日も北浦で釣りに勤しんできた努力が実を結んだ。
メインエリアは言わずもがなの北浦。
アシ、ブッシュ、オダをメインにヤマセンコー4インチとカバースキャット2.5インチを使い分け、初日は3,420gをキャッチ。
2日目は9時までのエリア制限があったため、それまでは北利根川で過ごした小野選手。
リミッターが解除されると同時に北浦へと向かったが、沈着冷静。
他団体のトーナメント開催があることも考慮して、下流域から釣りを開始した。
エレキのペラが砂煙を巻き上げるほどのシャローで着々とスコアを伸ばし、コ・アングラーの貴重な一匹もあって、うれしい初優勝を果たした。
「苦手な春に、北浦で勝つことができてよかった」と笑みを見せた小野将大選手。
釣りに出ることを許してくれる、家族への感謝も忘れなかった。